先進ヒューマンケア科学研究所

包括的介護負担軽減のための医工福祉連携

研究概要

 昨今、高次脳機能障害や発達障害などの新たな障害や不適応症状が問題となっている。また、社会の高齢化に伴い、認知症患者が増加することが懸念され、行動心理症状(BPSD)の軽減などの対策が必要である。これらの疾患の根本的な治療法の開発とともに、当事者及びご家族への支援法の開発が必要であるが、そのためには、基礎研究と治療・支援そしてその実践技法の開発が求められている。 
 これらの先進的なヒューマンケアを開発・推進するためには、学際的な観点から実践と数量化に基づくデータ収集、そしてその効果検証の過程が必須であるが、佐賀大学においては、これまでの各プロジェクトにより培ってきた共同研究体制などにより、開発の基盤が既に形成されている。 
 本テーマは、先進性と共に、地域医療や地域開発に効果を有するものである。

研究計画

主たる研究領域

  1.  医工福祉連携及び関連領域 (医学部・工学系研究科、文化教育学部など)
    ― 発達障害・高次脳機能障害・認知症ケア、認知リハビリテーション、
      テクノエイド、Brain-Machine Interface開発など
  2.  フィールドケア関連領域(医学部・農学部など)
    ― アグリセラピーの開発・推進、地産品の多目的利用
  3.  地域・社会的ケア関連領域(モビリティ支援等地域連携、社会実装)
    ― 買い物難民対策、障害者雇用対策など

主たる研究手法

  1. 疾患群・健常群データ取得
  2. データ解析のための機器等整備
  3. 画像解析と症状などの包括的データベース構築と分析
  4. 論文発表、特許取得
  5. 教育と啓発そしてネットワーク作りのための講演会、シンポジウム開催
  6. 研究成果の実践 社会実装への展開

研究者名

氏   名

部局・学科・講座等

専門分野

堀川 悦夫
松島 俊夫
原  英夫
馬渡 正明
廣川 俊二
後藤 昌昭
宮本 比呂志
浅見 豊子
野口 智幸
新井 康平
後藤 聡
杉  剛直
高橋 英嗣
藤田 一郎
野瀬 昭博
尾野 喜隆
井手 将文
福嶋 利浩
大島 千佳
木口 量夫
James
   Ashton-Miller
James Butler
医学部・地域医療科学教育研究センター
医学部・脳神経外科学講座
医学部・内科学講座
医学部・整形外科学講座
医学部・人工関節学講座
医学部・口腔外科学講座
医学部・病因病態科学講座
医学部・リハビリテーション科
医学部・放射線科学講座
工学系研究科・知能システム工学専攻
工学系研究科・知能システム工学専攻
海洋エネルギー研究センター
工学系研究科・先端融合工学専攻
文化教育学部・教育心理学専修
農学部・応用生物科学科
農学部・資源循環フィールドセンター
全学教育機構
全学教育機構
日本学術振興会特別研究員(医学部)
九州大学大学院 工学研究院 機械工学部門
Dept. of Biomechanical Engineering、
  University of Michigan.
Dept. of Physiology, Harvard Medical
  School, Harvard School of Public Health
認知神経心理学
脳神経外科学
神経内科学
整形外科学
生体工学
口腔外科学
病原細菌学
リハ医学
放射線診断学
画像解析学
制御工学
制御工学
生理学
小児科学
生物資源開発学
家畜共生学
福祉工学
障がい者スポーツ
音楽療法
ロボット工学
医工連携開発研究、生体工学

呼吸生理、転倒予防

方法

  1. もやもや病をはじめとする高次脳機能障害患者の症状、生活・就労問題について、臨床研究を行い、実態を明らかにする。(松島教授ほか)
  2. 初期の認知症患者、軽度認知機能低下(MCI)高齢者の早期発見のために、神経心理学的検査を含む検査・評価システムを構築する。(原教授ほか)
  3. 人工股関節置換術患者の術前後の歩行解析から、生活リハビリテーションの適用方法とQOLについて分析を行う。(馬渡教授、廣川教授ほか)
  4. 口腔外科における顔面補綴などの先進的医療について技術開発と患者のQOLの側面からのアプローチを行う(後藤昌昭教授ほか)
  5. 脳卒中などリハビリテーションを必要とする患者の臨床研究を推進する(浅見准教授ほか)
  6. 発達障害を有する児童生徒や成人の適応方法について実践的側面から研究・開発を行う。(藤田教授ほか)
  7. 認知機能訓練を必要とする患者の訓練・評価システムを開発するため、近赤外光による脳機能計測などの実践的手法により評価を行う(高橋教授ほか)。
  8. もやもや病や脳卒中など脳血管性疾患における脳画像と病態との関連について画像データベースと解析システム構築を行う。(野口講師ほか)
  9. 認知症患者の心理行動症状(BPSD)低減のための工学的アプローチを含む手法の開発を行う。(大島研究員ほか)
  10. 医工福祉連携の観点から福祉工学や生活支援工学、福祉機器開発を推進する。(新井教授、後藤聡教授、杉准教授、井手准教授ほか)
  11. 高齢者や障害者の生活・就労支援で必要となる自動車運転能力に関する評価・相談システムの構築を行う。
  12. 農学部のフィールドセンター改組に呼応し、アグリセラピー開発に向けた研究開発を行う。(野瀬教授、尾野教授ほか)併せてフィールドにおける障がい者スポーツの応用を研究する(福嶋助教ほか)
  13. モデル地区において、研究成果を基に実践と社会実装を行う。
  • 本研究組織においては、これまでの先行的な研究成果にもとづき佐賀大学の新規研究プロジェクトに採択され、その支援を得て既に活動を行っている。
  • もやもや病患者に対する大規模な調査を開始し、300名以上の対象者の半数以上から回答を得て、データベースを構築し、分析を行っている。
  • 歩行解析においては、これまで延べ800名を超えるデータを取得しているが、大量データ解析のためのプログラム開発を急ぐ必要がある。
  • 認知症患者ケア、認知リハビリテーション、運転適性などの実践をその臨床活動において開始している。
  • 認知リハビリテーションの実証的データ取得に有用な近赤外光脳機能計測装置と脳波同時計測が可能なシステムを導入し、データ取得を行っている。
  • アグリ医療開発においては、農学部との共同でシンポジウムを開催し多くの参加者を得た。フィールドセンターでの実践を計画している。
  • 社会実装の例として行っている移動支援開発においては、吉野ヶ里町においてモデル事業を計画している。
  • なお、研究を実施するに当たっては,佐賀大学医学部倫理員会に申請し承認を得て行われるものである。
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